宇宙戦艦ヤマトだけがハードSFアニメだった
1. ヤマトだけがハードSFだ
宇宙戦艦ヤマト2199の話題でTLが盛り上がってますが、後にも先にも、ヤマト以外に大ヒットしたハードSFアニメってないと思うのです。
まず、ヤマトの前にはないですよね。シリアスなSFものアニメって。
2. ヤマトはヒーローものじゃなく、戦争もの
その後、ガンダム、エヴァンゲリオンの大ヒットが続きましたし、高橋良輔作品もマクロスも独自の世界がありますが、よく考えるとヤマト以外は全部ロボットものです。それも人が搭乗するタイプの。(エヴァはロボットじゃないけど、まあ、見た目巨大ロボットなんでそのくくりで)
ヤマトを当時、リアルタイムで見ていた時の子供たちの意識としては、あれはヒーローものではないのですね。戦争もののアニメなんですよ。ウルトラマン、ウルトラセブンの街を壊す怪獣をヒーローがかっこよく倒すストーリーじゃなくて、なんていうのかな。国と国が存亡をかけて死に物狂いで戦うアニメっていう捉え方。だから、ヤマトの波動砲やブラックタイガーを見る目も、たぶん、戦時中の子供がゼロ戦や戦艦大和を見て興奮するようなのと同じだったんでしょうね。
3. 細かい考証は勘弁しましょう
もちろん、宇宙空間で爆発音が伝わったり、物が燃えたり、ブラックタイガーが発進して、甲板から先に出たらスッと下がる(重力ないだろ!)みたいな致命的な間違いってあったらしいですけど、まあ、そこは子供向けの演出ということで。巨大ロボットを中学生が操って人類を守るっていう荒唐無稽から見ると小さいもので。それに、超能力とか新人類みたいのも出てこなくて、普通の人間が戦うだけですね、ヤマトは。
4. テレビ的にはロボットが出てこないと番組化しにくい
アニメを見る世代の中学生〜高校生が主人公で、個人が活躍したり苦悩したりして、その中で成長して、世界を救う、というのは見る層に受けるという計算なのでしょう。(※1)。それに、ロボットはプラモデルで儲けやすい。
本当?
ガルパンに夢中になってるのって、30代のIT系サラリーマンじゃない?金がないないって言っても、フィギュア買い揃えたりしてるじゃない。40代でもやってる。
5. きちんと技術的な考証をした大人向けのリアルなSF戦争ものアニメって、受けると思う
すごい昔、スタジオぬえが主体になって(だと思う)、SFマガジンに星間戦争の技術考証を連載していたことがあって、なるほどねーと思って読んでたんですが、まじめに考えると地味すぎてアニメや漫画にできないんだって。何か月も暗い中、ずっと航行して、すれ違うのは一瞬でしょ。遠いところからミサイル打っておしまい。音も光も確認できない。ほとんど自動化されるから人が操作する場面も少ない。無人機かもしれないしね。
人が乗るとしても、そういうのに乗るのって、歳くったおっさんでしょ。
でもね、それ、きちんとアニメ、マンガにしたら面白いと思うんです。今や、アフガニスタンで空爆を繰り返す無人機って、アメリカで空軍の人が遠隔操縦してるんでしょ?地球の裏を映す画面の中で子供が死んでいくのを見て、心を病むひとも多いそうです。そういうリアルな人物描写が、子供が搭乗する巨大ロボットヒーローアニメでは描写できない。
ということで、30代後半(ガンダム、エヴァ世代)〜50代前半(ヤマト世代)をターゲットにしたSFシリアス戦記アニメ/マンガって狙い目目だと思うな。しかも、企画を決裁する人って、その世代でしょ。
Black LagoonのSF版みたいなイメージかな。
それにね、小学校5〜6年生くらいだったら、大人向けで分かりにくいくらいのほうがいいんですよ。少し背伸びして理解する。当時のルパン三世の最初のシリーズみたいに、親がいると見れないようなやつ。そのほうが、子供も食いつくし、その後、何十年も儲かるはず。。。。
でも、「ヤマトよ永遠に」みたいな儲け方はやめてね。
(※1)特に、アップルシード、エクスマキナのシリーズはその分かりやすさが目につきます。単発映画なのでストーリーを単純にするのは分かりますが、一人か二人のヒーロー、ヒロインが、敵の心臓部のこれを壊したら、これを倒したら世界が救われるという話ばっかり。世の中、個人の働きばっかりで戦争の勝ち負けが決まるわけじゃないでしょ、とつぶやきつつも、デュナンがきれいだから何回も見ちゃう。