ソフトウェアエンジニアの業 / no getting out of here

 理工学部出身のエンジニア、それもソフトウェアの技術者としてこれから十数年、どんな仕事をしてどんな生活をしていこうかと最近、考えるのです。

 工学、つまり工業を支える技術体系が僕らの能力なのですが、もう工業を拡大してはいけない。これ以上、工業生産を増やしたら地球が壊れてしまいます。人類がこのままの姿では住めなくなってしまう。

 工業生産を増やさない技術者ってのは企業の側から見るとありえないでしょうし、ソフトウェアが資源を消費しない唯一の産業だという論はどうも怪しい。端末のPCや携帯だって増産しやきゃいけないしネットワーク、無線通信網、データセンターが資源、電力を大量に消費します。そういうものがないと僕らの能力は生かせない。

 そう。原発の電力を共有してもらわなかったら、僕はソフトウェアエンジニア続けられないかもしれない。(火力でどうにかしのげる、という議論は置いておくとして)

 かといって、何万年も地球に害を残すプルトニウムみたいなものをじゃんじゃん製造する原発を作る企業群、政府、社会。そういうものグズグズと従って金をもらっていていいんだろうか。
 盛大に環境も資源もぶち壊している自動車産業にぶら下がって生きていっていいんだろうか。

 工業、工学(エンジニアリング)、ソフトウェアなどという、高校生のころからずっと学んできた技術や仕事や蔵書の力を捨てて生きていけるのだろうか。業の深い人生を選んでしまったなあと感じる初夏であります。

2013年初夏 うさぎ記