日本ソフトウェア産業の敗北=日本の全産業の絶滅ではないのか
1. ドラッカー的な意味じゃなくて
ドラッカーの情報化社会とか、情報処理は全産業において重要とかそういう古臭い話じゃなくて、安冨歩風の話ですけどね。しかも日本ローカルな製造業中心の話。
2. ソフトウェア開発はレンズ研磨や化学品の製造とどこが違うか
僕は高校時代から情報処理一本やりだったんですが、昔は「学生時代はレンズの研磨の研究やってた」「白衣を着て試薬を混ぜる毎日だった」という先輩が多くいました。
そういう方によく言われたのは、「ソフトウェアはほとんど理詰めでトラブルが起きて、理詰めでトラブルを突き止められる」。レンズの研磨剤選びなんてやってみなきゃ分からない。試薬を混ぜる実験で結果を予測できない。でもソフトウェアは人間が間違えなければきちんと動く。なんでこんな動きになるのだろう?という時でも、理詰めで解析していけば分かる。(※1)
3. ソフトウェアは理詰めで話をする力の産業
だから、論理的に話を組み立てる力があるかないかに、仕事の成果が左右されるわけです。
その産業で外国に圧倒的に負けてしまっている。
人数を集めて管理するのがソフトウェア屋のハイレベルなスキルだ、みたいな職場しかない。
つまり、合理的、論理的に仕事ができないのが今の日本人、特に製造業のソフトウェア開発部門なのだと思います。
4. 問題はソフトウェア開発だけじゃない
それがソフトウェア開発だけに閉じた問題ならまだ救いもあるのですが、むしろほかの部門のほうがひどいんじゃないでしょうか。経理とか品質管理とか企画とか。論理なんてすっとばして、上のひとが言うこと、テレビで聞いたこと、新聞で読んだことのオウム返し。「○○役員の言った話だから従え」という仕事しかできない。その「○○役員の言葉」を聞いて覚えた人が出世する、みたいな世界。
5. だから、、、
だから、もう日本人は思考能力をなくしてしまっているのですよ。
その状態で円安になったって、もう外国人が買いたいようなものは作れないし、そもそもチェルノブイリ級に汚染された家電や自動車なんてだれも買わないって。チェルノで作ったレクサスより、ブラジル製フォルクスワーゲンのほうがクールでしょう。
もし、日本経済が生き残ったり復活するチャンスがあるとしたら、顧客の非合理的な話を拒否したり、論理的、合理的にソフトウェア開発ができて、そうすると力のないソフトウェアハウスや技術者が淘汰されるけど、ソフトウェア産業全体としてアメリカに勝てる。そういう時期がきたら日本経済全体も復活というか、正常化できるんじゃないかと思うのです。
ぜったい、復活しないと思うけどね。
(※1)ソフトウェアも巨大になると一概にそうとも言えないと思うのだけれど。